サイトを公開しよう ―
レンタルサーバーへのアップロード
全9回をかけて作り上げたcafé SOELのWebサイト。HTMLの骨格、CSSの装飾、レスポンシブ対応、SEO、アクセシビリティ――すべてが揃いました。最終回の今回は、いよいよこのサイトを"世界中の人がアクセスできる場所"に置く作業です。

前回のおさらい
- ARIA属性(aria-label、aria-expanded)でハンバーガーボタンに意味を添えた
- ヒーロー以外の画像に loading="lazy" を追加して読み込みを効率化した
- JPG画像をWebPに変換し、ページの総容量を大幅に削減した
前回で、café SOELのWebサイトは"公開できる品質"に到達しました。W3Cバリデーターもクリア、Lighthouseのスコアも良好。あとは、この完成したファイル一式を「インターネット上のみんなが見られる場所」に置くだけです。
今回はコードを新しく書く作業はほとんどありません。そのかわり、Webサイトが公開される仕組みを理解し、実際にサーバーへアップロードする体験をします。初めてだと少し緊張するかもしれませんが、やることはとてもシンプルです。一緒に進めましょう。
今回のゴール
- Webサイトが公開される仕組み(サーバー・ドメイン・DNS)の全体像を理解する
- レンタルサーバーの選び方を知り、自分に合ったサービスを選べるようになる
- FTPクライアント(FileZilla)を使って、サイトのファイルをサーバーにアップロードする
- SSL(HTTPS)の必要性を理解し、設定を確認する
- 公開後の動作確認と、今後の更新方法を把握する
Webサイトが公開される仕組み — 3つの登場人物
これまで私たちは、自分のパソコンの中でサイトを作ってきました。ブラウザで index.html を開けば表示はされますが、それは自分だけの世界。他の誰もそのページにはアクセスできません。
Webサイトを「公開する」とは、インターネット上に24時間動いているコンピューター(サーバー)にファイルを置くことです。そして、そのサーバーに「住所」を付けて、誰でもたどり着けるようにする。この仕組みに登場するのが、3つの要素です。
サーバー — ファイルを置く場所
サーバーは、Webサイトのファイル(HTMLやCSS、画像など)を保管して、アクセスがあったときにそれを返してくれるコンピューターです。24時間365日電源が入っていて、世界中からのリクエストに応答し続けています。
自前でサーバーを用意するのは大変なので、「レンタルサーバー」という月額制のサービスを利用するのが一般的です。プロの現場でも個人サイトでも、ほとんどの場合はレンタルサーバーを使います。
ドメイン — サイトの住所
ドメインは、cafe-soel.com のような「人間が読める住所」のこと。本来サーバーの場所は 203.0.113.50 のような数字の羅列(IPアドレス)で指定するのですが、そんな番号を覚えてもらうのは現実的じゃないですよね。そこで「わかりやすい名前」を付けてあげるのがドメインの役割です。
ドメインはドメイン登録サービスで取得します。年間数百円〜数千円程度が一般的で、レンタルサーバーの契約と同時に取得できることも多いです。
DNS — ドメインとサーバーをつなぐ電話帳
DNS(Domain Name System)は、「このドメインにアクセスしたら、このサーバーに案内してね」という紐付けを管理する仕組みです。電話帳のように、名前(ドメイン)から番号(IPアドレス)を引いてくれます。
ブラウザに cafe-soel.com と入力すると、まずDNSに問い合わせが行き、「そのドメインはサーバー 203.0.113.50 だよ」という答えが返ってきて、そこに置いてある index.html が表示される。この流れが、毎回一瞬で起きているんです。
レンタルサーバーを選ぼう
レンタルサーバーはたくさんの会社がサービスを提供していますが、初心者の方が最初のサイトを公開するなら、以下の4つが定番です。どれを選んでも、café SOELのような静的なHTMLサイトは問題なく公開できます。
| サービス名 | 月額の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| Xserver | 約1,000円〜 | 国内シェアが非常に高く、困ったときの情報がネット上に豊富。安定性とサポートに定評あり。初心者が迷ったらまず候補に入る。 |
| ConoHa WING | 約900円〜 | 管理画面がモダンで直感的。表示速度に力を入れており、若い世代のユーザーが多い。ドメインとセットのプランが人気。 |
| ロリポップ! | 約220円〜 | 低価格帯の代表格。学生やお試しで使い始めるのに最適。上位プランにすれば本格的な運用も可能。 |
| さくらのレンタルサーバ | 約500円〜 | 老舗のホスティングサービスで安定感に定評あり。技術者コミュニティでも信頼が厚い。 |
どのサービスもSSL(HTTPS)の無料設定に対応しています。料金やプラン内容は変わることがあるので、契約前に各サービスの最新情報を確認してくださいね。
サーバーの契約とドメインの取得が完了したら(具体的な手順は各サービスのガイドに従ってください)、次はいよいよファイルのアップロードです。
アップロードの準備 — 手元のファイルを確認する
サーバーにアップロードする前に、手元のファイルがすべて揃っているか確認しましょう。第9回までの作業が完了していれば、フォルダの中身はこうなっているはずです。
my-website/
├── index.html
├── css/
│ └── style.css
└── img/
├── hero.webp
├── concept.webp
├── menu-coffee.webp
├── menu-latte.webp
├── menu-cake.webp
├── menu-sandwich.webp
├── interior-01.webp
├── interior-02.webp
├── exterior.webp
├── logo.png
├── ogp.jpg
└── favicon.svg
画像は第9回でWebPに変換した .webp ファイルを使います。ロゴ(.png)、OGP画像(.jpg)、ファビコン(.svg)はそのまま。もし変換前の .jpg ファイルも img/ フォルダに残っている場合は、アップロードしてもしなくても問題ありませんが、不要なファイルは省いた方がすっきりします。
FTPとは — サーバーにファイルを届ける方法
FTP(File Transfer Protocol)は、自分のパソコンからサーバーにファイルを転送するための通信手段です。プロトコル(Protocol)という名前のとおり「こういうやり方でファイルをやりとりしましょう」というルール・手順のこと。
イメージとしては、宅配便のようなものです。「差出人」が自分のパソコン、「届け先」がサーバー。FTPクライアントという専用ソフトが、荷物(ファイル)を届けてくれる配達員の役割です。
現在では、FTPをより安全にした FTPS や SFTP という方式が一般的です。データが暗号化されるので、第三者に通信内容を覗かれる心配がありません。レンタルサーバーの管理画面にFTP接続情報が記載されていますが、多くの場合「FTPS対応」と書いてあるはず。安心して使ってください。
FileZillaでファイルをアップロードする
FTPクライアントはいくつかありますが、この講座では FileZilla(ファイルジラ) を使います。無料で、Windows・Mac・Linuxのすべてに対応していて、世界中で広く使われている定番ソフトです。
FileZillaをインストールする
https://filezilla-project.org/ にアクセスして、「FileZilla Client」をダウンロード・インストールします。「Server」ではなく「Client」の方を選んでくださいね。
サーバーの接続情報を確認する
レンタルサーバーの管理画面から、FTP接続に必要な情報を確認します。必要なのは以下の4つです。
ホスト名 : ftp.example.com (サーバーの管理画面に記載)
ユーザー名 : your-username (サーバー契約時に決めたもの)
パスワード : your-password (サーバー契約時に決めたもの)
ポート番号 : 21 (FTPSの場合。SFTPなら 22)
これらの情報はサーバーの管理画面で「FTPアカウント」「FTP設定」「サーバー情報」といった名前のページに載っています。サービスによって呼び方が違いますが、探せば必ず見つかります。
FileZillaでサーバーに接続する
FileZillaを起動すると、画面の上部にホスト・ユーザー名・パスワード・ポートの入力欄があります。先ほど確認した情報を入力して「クイック接続」をクリック。「証明書を信頼しますか?」というダイアログが出たら「OK」で進めてください。
接続に成功すると、画面が左右2つのパネルに分かれた状態になります。
📄 index.html
📁 css/
📄 style.css
📁 img/
🖼 hero.webp
🖼 concept.webp
🖼 ...
(ここにファイルを入れる)
左がローカル(自分のパソコン)、右がリモート(サーバー)。ファイルマネージャーに似た、直感的な画面です。
公開ディレクトリを確認する
右のリモート側で、Webサイトのファイルを置くべきフォルダ(公開ディレクトリ)を開きます。サービスによって名前が異なりますが、public_html、www、htdocs のいずれかであることが多いです。レンタルサーバーのマニュアルに記載されているので、事前に確認してください。
ファイルをアップロードする
左のローカル側で my-website/ フォルダの中身を表示します。index.html、css/ フォルダ、img/ フォルダの3つが見えるはず。これらをすべて選択して、右のリモート側の公開ディレクトリにドラッグ&ドロップ。転送が始まります。
ファイル数は十数個なので、転送はすぐに終わるはずです。画面下部のステータスバーに「転送完了」と表示されたら成功です。
public_html/ ← 公開ディレクトリ
├── index.html ← ここに直接置く
├── css/
│ └── style.css
└── img/
├── hero.webp
├── concept.webp
└── ...
public_html/
└── my-website/ ← フォルダごと入ってしまっている
├── index.html
├── css/
└── img/
SSL(HTTPS)を確認する — 安全な通信の証
ファイルのアップロードが終わったら、ブラウザでURLにアクセスする前に、もうひとつだけ確認してほしいことがあります。SSL(HTTPS)の設定です。
SSL(Secure Sockets Layer)は、ブラウザとサーバーの間の通信を暗号化する仕組みです。SSLが有効になっているサイトは、URLが https:// で始まり、ブラウザのアドレスバーに鍵マークが表示されます。
「カフェのサイトに暗号化って必要?」と思うかもしれません。でも今の時代、SSLは事実上すべてのWebサイトに必須です。Googleは https:// のサイトを検索順位でわずかに優遇していますし、SSLのないサイトには「保護されていない通信」という警告が表示されます。お店のサイトにそんな表示が出たら、訪問者は不安になりますよね。
幸い、先ほど紹介したレンタルサーバーはどれも無料SSLに対応しています。サーバーの管理画面に「SSL設定」「無料SSL」「Let's Encrypt」といった項目があるはずなので、そこからドメインに対してSSLを有効化してください。ボタンひとつで設定できることがほとんどです。
公開! — ブラウザでアクセスしてみよう
ファイルのアップロードとSSLの設定が終わったら、いよいよ確認の瞬間です。
ブラウザのアドレスバーに、あなたのドメイン(https://your-domain.com)を入力して Enter。
これまでずっと自分のパソコンの中だけで見ていた café SOEL のサイトが、世界中からアクセスできるURLで表示されているはずです。
自分の手で作ったサイトが、自分のURLで表示される。その瞬間の感動は、何度経験しても特別なものです。
公開後のチェックリスト
表示された喜びの余韻に浸りつつ、以下の項目を一通り確認しましょう。
- トップページ(index.html)が正しく表示されている
- 画像がすべて表示されている(読み込み失敗で壊れたアイコンになっていないか)
- CSSが適用されている(テキストだけの素朴な表示になっていないか)
- ナビゲーションのページ内リンク(#concept、#menu など)が正しく動く
- ブラウザの幅を狭めるとモバイルレイアウトに切り替わる
- URLが https:// で始まり、鍵マークが表示されている
- スマートフォンの実機でもアクセスして表示を確認する
もし画像が表示されなかったり、CSSが効いていなかったりする場合は、ほとんどがファイルパスのずれです。サーバー上のフォルダ構成がローカルと同じになっているか、もう一度FileZillaで確認してみてください。
OGPの表示を確認する
第8回で設定したOGPが正しく機能しているか、公開後に確認しておきましょう。SNSでシェアされたときに、画像やタイトルがきちんと表示されるかどうかのチェックです。
Facebook シェアデバッガー
Facebook シェアデバッガーにサイトのURLを入力すると、OGPの解析結果が表示されます。og:title、og:description、og:imageが正しく読み取れているか確認しましょう。
X(旧Twitter)Card Validator
Xでシェアされたときの表示は Card Validator で確認できます。OGP画像(ogp.jpg)がカードとして表示されていれば成功です。
もし画像が表示されない場合は、og:image のURLが相対パスのままになっていないか確認してください。公開後は絶対URL(https://your-domain.com/img/ogp.jpg)に変更した方が確実です。
<!-- ↓ 変更前(相対パス) -->
<meta property="og:image" content="img/ogp.jpg">
<!-- ↓ 変更後(絶対URL) -->
<meta property="og:image" content="https://your-domain.com/img/ogp.jpg">
この変更をしたら、ローカルで保存してからFileZillaで index.html だけ再アップロードすればOKです。
公開後の更新とバックアップ
サイトは公開したら終わり、ではありません。テキストの修正や写真の差し替えなど、小さな更新は必ず発生します。更新の流れもここで覚えておきましょう。
更新の基本フロー
ローカルで編集する
VS Codeで index.html や style.css を修正し、ブラウザで確認して問題ないことを確かめます。いきなりサーバー上のファイルを直接編集するのは避けましょう。ミスしたときに戻せなくなります。
修正したファイルだけを再アップロード
FileZillaで変更したファイルだけをサーバーにアップロード(上書き)します。全ファイルを毎回上げ直す必要はありません。
ブラウザで公開サイトを確認
アップロード後、ブラウザでリロードして反映されていることを確認。キャッシュが残っていて変化が見えない場合は、Ctrl + Shift + R(Macは Cmd + Shift + R)でスーパーリロードしてみてください。
バックアップを忘れずに
万が一のときのために、ローカルのファイル一式は必ずバックアップを取っておきましょう。USBメモリやクラウドストレージ(Google Drive、Dropboxなど)にフォルダごとコピーしておけば安心です。
更新を重ねるうちに「2週間前の状態に戻したい」ということが起こるかもしれません。そんなときのために、大きな変更をする前にフォルダを日付付きでコピーしておく習慣をつけるのがおすすめです。
おめでとうございます — ここまでの旅路を振り返って
第1回で「Hello World!」と表示するところから始まったこの講座。ここまでたどり着いたあなたは、もうWebサイトを"ゼロから自分の手で作って公開できる人"です。
10回の講座で、あなたが身につけたことを振り返ってみましょう。
第1回で開発環境を整え、第2回でHTMLの骨格を理解しました。第3回でサイトのコンテンツを組み立て、第4回でCSSの基本を学びました。第5回ではFlexboxでパーツを横に並べ、第6回でCSS Gridとレスポンシブデザインに挑戦。第7回でGoogle Fontsやトランジションを加えて見た目を仕上げ、第8回でSEOと構造化データを設定。第9回でアクセシビリティとパフォーマンスの最終チェックを行い、そして今回、世界に公開しました。
HTMLの骨格、CSSの装飾、レスポンシブ対応、SEO、アクセシビリティ、パフォーマンス最適化、そしてサーバーへの公開。Webサイト制作の一連の流れを、最初から最後まで通して経験できたことに大きな意味があります。
いちばん大事なのは「正しく書くこと」じゃなくて「まず作り上げること」。完成させた経験は、どんな教科書より強い基礎になります。
もちろん、この講座はWebサイト制作のほんの入口です。JavaScriptによるインタラクション、CSSアニメーション、デザインのカスタマイズ――まだまだ広がる世界があります。番外編の3回で、その先の一歩を案内しているので、興味のあるところから読んでみてください。
café SOELのサイトをベースに、色を変えたり、セクションを追加したり、自分だけのオリジナルに育てていくのも素敵です。あなたが手を動かした分だけ、サイトは良くなっていきます。
ここまでの全10回、お付き合いいただきありがとうございました。あなたの作ったWebサイトが、誰かの目に届いて、何かを伝えてくれることを願っています。
今回のまとめ
- Webサイトの公開には「サーバー」「ドメイン」「DNS」の3つが必要。サーバーにファイルを置き、ドメインで住所を付ける
- レンタルサーバーは Xserver、ConoHa WING、ロリポップ!、さくらのレンタルサーバなどが初心者にも使いやすい
- FTPクライアント(FileZilla)を使えば、ドラッグ&ドロップでサーバーにファイルを転送できる
- アップロード時は「フォルダの中身」を公開ディレクトリ直下に置く。フォルダごと入れてしまわないよう注意
- SSL(HTTPS)はすべてのサイトに必須。レンタルサーバーの管理画面から無料SSLを有効にする
- 公開後はOGPの表示確認、スマートフォンでの実機確認を忘れずに行う
- 更新は「ローカルで編集 → FTPで再アップロード → ブラウザで確認」の3ステップ